映画レヴュー 1
「テルマ&ルイーズ」
冒頭、払暁の空と広大な荒野が画面いっぱいに映し出されます。
画面中央にまっすぐ延びたハイウェイの先には、一億年もそこに横たわっていたのだろうと思える岩山。
人や車はおろか、動くものがひとつも存在しない風景は、美しいという以上に恐ろしく、どこか切ない。
岩も、空も、大地も、雄大や悠久という言葉では追いつかない圧倒的な存在感を示していて、ほんの一瞬、その上に現れて消えるだけの人の生の倭小さが、身につまされるからかもしれない。
と、画面は一転し、ありふれた食堂の朝食時の混雑が映し出されます。
そこで働くウェートレスが、ルイーズ。
ちょっとこわもてで、男のよさもダメさ加減も十分に知り尽くしていて、人生に過分な期待は禁物と承知しているけれど、決して絶望もしていない。
自分をコントロールすることに長けた姐御肌の女性。
彼女の親友がテルマ。
そこそこに美人で、徹底的に世間知らずで、横暴な旦那に頭が上がらない毎日を送ってはいるけれど、そんな自分を格別不幸とも思っていない。
よく言えば天真欄漫、悪く言えば何事にも主体性に欠ける無責任な女性。
そろそろ中年に差しかかりつつある二人が、恋人と旦那をほっぼって週末旅行に出かける。